藍の抗菌、抗ウイルス効果に関する研究について
奈良県立医大で藍抽出液の新型コロナウイルス不活化を実証
今年1月6日、私たち植物染料染めをやっている者にとって驚くようなニュースが飛び込んできました。
奈良県立医科大学と寿スピリッツ株式会社の共同研究により、
藍の茎・葉から抽出した液体に、新型コロナウイルスのウイルスを不活化し感染を抑制する効果が実証されたというニュース。新聞各紙でも報道されましたので、ご存知の方も多いことと思います。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000015383.html
https://www.kotobukispirits.co.jp/news/docs/20210106_ai_corona.pdf
上記表1、2の「藍抽出物DIAION処理品」というのは藍の地上部を熱水抽出し、タンパク質などの雑物を取り除いたもの。抽出液そのものの実験ですので藍染めした布を検査したわけではありませんが、今後藍染めの性能についても研究が進み、様々な効果が実証されることを期待します。
藍の抗菌成分Tryptanthrin(トリプタンスリン)に関する研究
藍の葉に含まれるtryptanthrin(トリプタンスリン)には、アトピー性皮膚炎などの原因の一つであるmalassezia furfur(マラセチア フルフル)菌に対する抗菌性が一般的な治療薬の硝酸ミコナゾールの6倍もあることを弘前大学教育学部の天然物有機化学研究室と医学部の共同研究で突き止めたそうです。
http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/rika/kagaku/kitahara/sensei.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tennenyuki/47/0/47_457/_pdf/-char/ja
この研究結果は北原研究所https://kitahara.co/indigo/study/に引き継がれ
トリプタンスリンを利用した様々な商品が実用化されています。
さらに藍染との関連では、沖縄の琉球藍染めの抗菌成分の研究において
「抗菌成分トリプタンスリンはインディゴと同様に還元・酸化反応によって布へ浸透・吸着すること」さらに「インディゴとの相互作用によって吸着量が 増加する」という研究結果も出ています。
wa.jp/site/shoko/kogyo/kikaku/kenkyuhoukoku/documents/2018_p006_web.pdf
(沖縄県工業技術センター研究報告 第21号 平成30年度 )
アトピー性皮膚炎の原因菌とも言われるマラセチア フルフル菌は、大人ニキビや肌荒れの原因とも言われ、マスクでの肌荒れに悩む人にも藍の美しい青色とともに染めついたトリプタンスリンの抗菌力を届けたいと思います。一口に藍染と言っても様々な染め方があります。どういう手法で染めたらその効力を最大限に引き出すことができるのか、これからも研究して商品開発につなげていきたいと考えています。