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大和当帰にはどんな使い道がある?染料・食用など薬草以外の活用法も

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大和当帰の葉

 

皆さんは「大和当帰(ヤマトトウキ)」という植物をご存じでしょうか?大和当帰は奈良県にゆかりのある薬草で、婦人科の漢方処方には必ず配合されている、なくてはならない生薬です。しかしそれだけではなく、大和当帰にはあまり知られていない別の用途も存在します。そこでこの記事では、大和当帰のさまざまな使い道について紹介していきたいと思います。

この記事を読むための時間:3分

大和当帰(ヤマトトウキ)ってどんな植物?

「当帰」はセリ科シシウド属の多年草。日本産の当帰には大和当帰(オオブカトウキ・オオフカトウキ)とホッカイトウキの2系統があり、大和当帰は奈良県を中心に栽培されています。比較的栽培しやすいホッカイトウキに比べ、大和当帰は栽培に手間がかかると言われています。高さは約20~80cm、葉は濃い緑色でツヤがあり、茎と葉柄は赤紫色を帯びています。葉は互生し、小葉は切れ込み、鋭鋸歯があります。6~8月頃、傘型の花序をつけ無数の白い花を咲かせます。

 

国内生産全体で見ると、北海道を中心に栽培されているホッカイトウキが大部分を占めていますが、品質は大和当帰の方が優れていると言われています。

【大和当帰の使い道】染料として使用できる

大和当帰は、葉の部分を煮出して染料として使用することができます。色は繊細で品のある美しい黄緑色。生地についた大和当帰の香りがふわっと香り、とてもリラックスできます。

【大和当帰の使い道】漢方薬として用いられる

大和当帰の根の部分は、漢方薬として用いられています。精油(リグスチリド等)を含み、強壮や鎮痛、鎮静、補血などの目的で婦人薬や冷え性用の薬、保健強壮薬、精神神経用薬などに配合されます。さまざまな漢方処方に配合されている、なくてはならない生薬ですが、原料となる大和当帰の国内生産は減少しています。

 

ちなみに同じセリ科の「セイヨウトウキ」は「アンジェリカ」と呼ばれ、欧州各地に自生。ハーブとして料理やお菓子作りに利用されたり、種子をリキュールの風味付けに使うなど、さまざまな用途で利用されています。

【大和当帰の使い道】美味しく食べられる

大和当帰の葉は、食用としての利用が広がっています。大和当帰の根の部分は古くから生薬として利用されてきましたが、それ以外の部分の使い道はありませんでした。しかし、平成24年より葉の部分が「非医」扱いになったことから、葉の部分が有効活用されるようになったのです。

 

大和当帰の葉は鮮やかな深い緑色で、セロリのような特徴的な香りがします。その香りを活かし、ハーブとして料理に使ったり、葉をそのまま天ぷらにしたり、乾燥してお茶として楽しむなどさまざまな利用法が考案されています。手軽に取り入れられるものとしては、味噌に混ぜ込んだ当帰葉味噌やハーブソルトなどの調味料がおすすめ。

【大和当帰の使い道】薬用酒としての使い道もある

大和当帰は薬用酒としての使い道もあります。当帰には油脂成分が多く含まれるため、薬用酒として服用するとより効果的だと言われています。砂糖と一緒にホワイトリカーにつけると、香り高いトウキ酒が完成。トウキ酒は便秘や冷えを解消してくれる効果が期待できます。

【大和当帰の使い道】薬草入浴剤として利用できる

香り高い大和当帰の葉は、入浴剤としても利用されています。薬草ならではの香りが優しく広がり、お湯につかると体がポカポカと温まり心身ともにリラックスできます。

大和当帰はいろいろな使い道がある

大和当帰は古くから生薬として利用され、漢方でも知られる薬草。現在はさまざまな葉の利用法が考案され、食用のほか、繊細な色を生み出す染料や入浴剤、薬用酒などに広く活用されています。女性に嬉しい効能がある大和当帰、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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