奈良吉野の染織工房|空蝉 -utsusemi-

蓬にはどんな使い道があるの?草木染めや漢方薬などの活用法をご紹介

LINEで送る
Pocket

蓬の葉

 

道端でもよく見かける身近な植物「蓬(ヨモギ)」。草餅や草団子などで親しまれている、香りの良い植物ですよね。実は蓬は食用の他にも、草木染めの材料や漢方薬など幅広い用途があることをご存じでしょうか?この記事では、蓬のさまざまな使い道について紹介していきたいと思います。

この記事を読むための時間:3分

蓬(ヨモギ)はどんな植物?

蓬は全国各地に野生しているキク科の多年草。河川敷や道端でもよく見かける、生命力の強い植物です。地下茎を伸ばして繁殖し、葉は互生し、羽状の深い切り込みが入っているのが特徴。葉の裏に産毛をまとい、裏返すと白っぽく見えます。夏頃には1メートルほどに成長し、8月~10月には小さな花を咲かせます。

【蓬の使い道】染料として使用できる

蓬は、草木染めの材料として使用できます。季節によって色合いの変化が大きく、春の新緑で染めると美しい萌黄色、5月頃になると若竹色に染まります。

蓬染めの方法

まず摘んできた蓬を洗い、ゴミを取り除きます。ステンレス製の鍋に蓬の葉と茎ごと小さくカットしたものを入れ、少量の石灰(空蝉では木灰または貝灰を使っています)と共に煮出します。液をアルカリにして、色素を抽出しやすくするのが目的です。しばらく置いて布で濾し、さらに3~4回程煎液を抽出します。

蓬染めの媒染による色の違い

絹や羊毛などの動物繊維はそのままでも良く染まりますが、綿や麻などの植物繊維を染める場合は薄い色になります。豆汁や豆乳などで下染めをしてタンパク処理を行うと少し濃く染まりますが、空蝉ではタンパク処理はせず、素材によって出るそのままの色を染めています。

 

媒染による色の違いは以下の通り。

・アルミ媒染…黄色〜薄い黄緑色

・銅媒染…若竹色 ※空蝉では、水質環境保全の目的から銅媒染は行っておりません。
  参考: 物質に関する基本的事項 10 銅及びその化合物 - 環境省

・鉄媒染…老竹色(渋いアッシュグリーン)

【蓬の使い道】漢方薬として用いられる

蓬は、漢方では「艾葉(がいよう)」といい、不正出血や鼻血、痔の症状に使われます。民間療法としては、古くから切り傷などの出血や虫刺されに用いられてきました。また、東洋医学では体を温める「散寒」の働きのある生薬に分類され、特に下腹部を温める作用に優れているため、女性の月経、妊娠、出産などに役立つ生薬としても知られています。

 

体を温める効能を利用した活用法としては、葉を湯船に入れるという方法もあります。

【蓬の使い道】お灸に使うもぐさの原料になる

お灸に使うもぐさは、蓬から作られています。花の咲く前の蓬を刈り取り乾燥させたものを臼で砕き、葉と茎を取り除く作業を繰り返し続けると、やがて葉の裏を覆っていた綿毛だけが残ります。これがお灸に使われるもぐさ。乾燥したよもぎから約1/200しかとれない、とても貴重な存在です。お灸は身体の不要な湿気を取り除き、血行を良くすると言われています。

【蓬の使い道】美味しく食べられる

蓬は草団子や草餅で知られていますが、アクが少ないものであれば炒め物や天ぷらにして食べることも可能。草餅や草団子にする時は、茹でて使用します。和菓子だけでなく、パウンドケーキやシフォンケーキなどの洋菓子にもよく合うので、お菓子作りがお好きな方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

食用の蓬は春に出る柔らかい芽が適しているため、3月から5月上旬が蓬摘みのシーズンとなります。蓬を摘む場合は、除草剤などが撒かれない安全な場所を選ぶようにしましょう。

【蓬の使い道】ヨモギ茶にして飲むことができる

蓬は煎じてお茶として飲むことができます。ヨモギ茶には貧血や更年期障害の改善、体内の血行を良くする効果、アンチエイジングやダイエットなどの効果が期待できると言われています。ビタミン、ミネラルが多く含まれており、ノンカフェインなので、妊婦の方にもおすすめ。ただし、妊婦の方の場合、過剰摂取には注意が必要です。

蓬には幅広い用途がある

蓬にはさまざまな効能があり、古くからさまざまな用途で使われてきた植物です。実は日本だけでなく、ヨーロッパでも「ハーブの母」と呼ばれるほどポピュラーな存在。興味を持たれた方は、まずは食用やお茶など、身近に取り入れられる方法から試してみてはいかがでしょうか。

コメントは受け付けていません。

LINEで送る
Pocket

関連記事RELATED ARTICLE

PAGE TOP